東京オリンピックの年の経済

ベーシックインカムをオランダ等5か国で実験した結果って結局どうだったの?まだ結論出てないの?

ドイツが、ベーシックインカムの効果を明らかにするための3年間の実験を開始したと報じられました。

これまで、実験を行ってきたオランダ等の5か国のベーシックインカムの結果はどうだったのでしょう?

これらとドイツの実験は何が違うのでしょう?日本でも可能なのでしょうか?
ベーシックインカムとは?からそのメリット、デメリットを結果と対比して詳しく見てゆきます。

ひまり
なんか魅力的に聞こえるけど

ベーシックインカムをオランダ等5か国で既に実験

ベーシックインカムをオランダ、カナダ、フィンランド、アメリカ、イタリアの5か国で既に実験しています。

国・都市
期間
対象者
給付額
カナダ ドーファン市
1974年~1979年
市民全員
年16000カナダドル(月約10万7千円)
フィンランド
2017年1月1日
失業手当受給者から学生などを除いた母集団(25歳以上58歳以下)2000人
月額560ユーロ(約7万円)を給付
オランダ  ユトレヒト市
2018年6月~2019年10月
既存の社会保障給付の受給者約 300 人(内50 人は無条件)
単身 900 ユーロ(約10万8千円)
夫婦・世帯当たり 1300 ユーロ(約15万6千円)
アメリカ カリフォルニア州ストックトン
2019年2月1日~
困窮者(月収18万以下)125人の住人世帯毎月5万4000円
イタリア
2019年4月~
収入、保有財産が一定額以下(職安に通い、適切な求人3つのうちの1つに応じる条件)
単身6000円
世帯1万2600円
スペイン
2020年6月中旬から申請受け付け開始
低収入の生活困窮者約85万世帯、約230万人
単身462ユーロ(約5万6000円)
5人以上世帯1015ユーロ(約12万2000円)
ドイツ
2020年8月18日~3年
120人
毎月1200ユーロ(約15万円)

ベーシックインカムの基本的考え方とは、労働年齢に達した全国民に、政府が就労の有無や収入の多寡に関わらず、最低限度の生活水準を維持するに足る同額の現金を一律に配る制度です。
限定的で特定条件に当てはまる人だけに給付する生活保障制度など、従来の社会保障とは区別されます。

当然、これには、「富裕層にも配るのはおかしい」「労働意欲をなくす」などの懸念や批判があります。

メリット

すべての国民が最低限以上の生活を送れるようになる。
・失業保険、生活保護、および基礎的な年金などベーシックインカムで代替できるものを一本化し、他を補助的に導入することで社会保障制度の簡素化が図れる。これにより関連する行政コストが削減できる。
労働意欲の向上
各種社会保障制度には所得制限があるため、働いて収入を得ると減額や支給停止が行われ、収入が減少するため労働意欲を低下させる(福祉の罠)。
ベーシックインカムにより、生活保護に頼る低所得者に長期的な自立への機会を与えることができる。

デメリットや批判

富裕層に対する支給
高所得者と低所得者に同じ金額を支給する制度は、逆進的である。
労働意欲の低下
生活の最低保証されるため、働いて賃金を得ようとする意欲が低下し、国の経済活動は衰退する。
財源の不安
莫大な財源をどこに求めるか
福祉水準の低下や廃止
一律給付で、それ以上の保障をする制度が亡くなると、例えば、高度な障害を抱えている経済的弱者に対してや地域差を考慮した給付など柔軟な対応ができない

最近スタートさせたスペインとドイツを除く5か国のベーシックインカム実験条件について見てゆきましょう。

ベーシックインカムの基本的な考え方は以下の3点です。

1.給付額が最低限度の生活水準を維持するに足る
2.対象者の、就労の有無や収入の多寡に関係ない
3. 対象は個人

対象人数が少ないとしても、これに、すべて適合しているのは、今回発表されたドイツのみです。
ほとんどが、困窮者などの条件を付けて、富裕層を除いているか、給付額が生活水準を維持するに足らない額となっています。

1の条件が外れると、給付金だけでは、最低限以上の生活を送れず、メインは、労働での収入となる。
2の条件が外れると、行政の、就労の有無や収入の調査が必須となり、行政コストの削減につながらない。
3の条件が個人でなく、世帯となると、例えば、学生などは、これを基盤として将来の職業を自由に発想できるというメリットがなくなる。

これまでの実験は部分的だったということか?
れん

結局結果はどうだったのか?効果の結論は?

次に、比較的はっきり結果が報告されているケースを見てゆきましょう。

フィンランドの暫定結果(2年間、対照群との比較)

・給付は雇用に対し、統計的には有意な差を与えなかった
給付を受けたために、雇用を減らすことも増やすこともなかった。
・対照群と比較して、ストレス症状が少なく、健康問題が少なく、将来に自信を持つようになった
仕事を探していることを証明しなければならないというルールが緩和され、仕事が見つかった場合には給付を継続することができるようになったことが影響している
・他者への信頼、法制度への信頼、政治家への信頼などについて対照群より給付対象者の方が高くなっている。
これまでなら、収入や健康状態などを偽っているのではないかという疑いの目で申請者が見られていた。
以上から政府は、主観的な幸福度に効果があったと結論づけています。

アメリカ・カリフォルニア州のストックトン(月収の30%の給付)

・現金を支給されると、働かなくなるのではなく、キャリアについて考える余裕ができて、より支払いのいい仕事を見つけることができた
・結果として、親となる時間、休む時間、コミュニティの一員になる「時間」を得た
心配が少なくなり、残業を減らすことができ、家族や友人と過ごす時間が増えた。

カナダのドーファン市

アルコール関連の事故やメンタルヘルスの問題による入院が減ったため、トータルで、入院は8.5%減少しました。
また、高校を卒業する青年の数も増加しました。

オランダのユトレヒト市

無条件でお金(月額約1,050ドル)を受け取れる受給者と、ボランティア活動をしなければならない受給者などグループ分けをして、財政支援を提供する方法がどれが最も効果的かを調査している。結果は2020年5月に公表される予定でしたが、まだ情報は得られていません。

昨年4月から始めたイタリアの結果はまだ報告されていません。

メンタル面に好ましい効果を示しているとの結果が多いようです。

ひまり
コロナ禍でそれどころではなかったのかも

ベーシックインカムへのネットの反応

一律支給だから何やかんやの審査や手続きなどの行政コストも無くなる。とにかく誰であろうと一律幾ら。でも、日本でやるなら例外をドライに排除出来るか
所得制限を設けないBIは不平等感もなく、審査にかかる行政の負担も少ない。
どうしても労働の出来ない者は支給の範囲内で生活を賄い、より豊かな生活を求める者はこれまで通り働く。最低限の生活が保証されれば、より人生に挑戦することもできるし、休むこともできる。
今の仕事を 我慢して働く事は無くなるから 自分は嬉しいな。転職しやすくなって 良いと思うし、それによって 会社自体も質が高くなって来ると思う。それに国民皆が 明るい雰囲気になると思う!
まぁ日本はまず無理だから検討すらしなくていいと思う 日本が無理なとこは行政をスリム化できないとこ ベーシックインカムは大幅な行政コストカットできるからこそ意味があるけど日本でそんな事できるわけない!
日本で実施した場合、国民皆保険もなくなるのかな?
通常受診で家庭の医療費3倍強。還付があって上限10万で済んでいる高額医療費も全額自己負担。自己責任は本当に怖いよ?

出典:ヤフコメ

日本では実験もやれそうな雰囲気でないね
れん

まとめ

要約すると...

  • ベーシックインカムの結果の出ているフィンランドなどでは、働かなくなるということはなく、生活基盤の安心感から他者への信頼性や幸福感が増すなど好ましい結果を得ている
  • 今回のドイツの実験がベーシックインカムの基本的な考え方に一番忠実なもので、結果に期待したい
  • 日本での導入を望む声と、日本の行政では、実験さえ無理だとあきらめの声も

コロナ禍での、全国民への特別臨時給付金10万円が、ベーシックインカムの良い実験になったという声があります。

一回限りですので、何とも言えませんが、給付手続きがごたごたしたなどで、どうも他者への信頼性アップには程遠い状況でした。

基本的な生活基盤がしっかりすることで、若者が本当にやりたいことや、リスクのある仕事などに果敢に取り組めるなら非常に魅力的な制度です。

まだ、日本には、働かざる者食うべからずという観念が生き続けていて、導入などとても考えられないのでしょうか?

格差の拡大、年金、健康保険制度などさまざまな制度の歪が心配される中、ベーシックインカムについても頭から排除せず、選択肢の1つとしてとして考える必要があるのではと思います。

ひまり
良いことばかりではなさそうで、恐ろしくなってきた

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