各施設やイベントの専用のQRコードを利用した大阪コロナ追跡システムの運用が29日から始まりました。
初日に2257件の登録があるなどかなり期待を集めているようです。
大阪コロナ追跡システムとはどのような仕組みになっているかを、厚労省が計画している日本版追跡アプリ、韓国のコロナ追跡システムと比較して分かりやすく説明しました。

目次
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大阪のコロナ追跡システムとは?
大阪のコロナ追跡システムとはどんな仕組みなのか?分かりやすく説明してみましょう。
このシステム開発の動機は、大阪でライブハウスでのクラスターが発生時に、全国に散らばったライブ参加者を把握するのに相当な困難があったことから来ています。
吉村洋文大阪府知事が、参加者が自ら名乗り出るよう繰り返し呼びかけ、ようやく8都府県もの広範囲に散らばった感染者が見つかったという苦い経験です。
大阪のコロナ追跡システムの内容
このコロナ追跡システムは専用QRコードを発行し、USJなどのテーマパーク、イベントなどの主催者がそのQRコードを表示し、参加者に読み取ってもらい、参加者がメールアドレスを大阪府に登録します。
これによって、誰が(メールアドレス、名前は特定せず)、いつ、どの施設を利用したかを管理するイベント参加者の名簿管理に特化したシステムと言えます。
もし、これらの施設やイベントで感染者が発生した場合、大阪府から同日、同施設を利用していた登録者全員に注意喚起のメールを配信します。
また、クラスター発生した場合には「新型コロナ受診相談センター」へ相談するよう促すメールを一斉送信します。
感染判明の申し出があった場合には、その時「発症日」及び「陽性判明日」を聞き取り、それ以外の個人名等の一切の個人情報を収集しません。
なお、登録より2ヵ月後に、データはシステムより消去されます。
アプリのインストールは不要で、個人情報の収集をメールアドレスなど最小限にとどめるため、個人情報流出などの危険性は少ないものの、以下の弱点があります。
府内の多くの施設で専用QRコードを申請する必要があります(登録施設、店舗などは公表されない)。
施設を訪れた大多数の参加者が施設ごと、訪問ごとに登録に協力する必要があります(自己申告)。
大阪府の方で開発された「大阪コロナ追跡システム」の運用が今日開始されたので、早速登録してみました。すぐにQRコード発行されたので、今日から早速園内に掲示開始。ぜひご利用ください。#天王寺動物園 pic.twitter.com/QOEGzsEYlD
— 牧慎一郎(天王寺動物園長) (@lggUNcIr05itpGP) May 29, 2020
個人の位置情報を収集していないので、感染者の移動経路を把握することはできません。
後に感染が分かった者が、行った施設で、QR登録していなければ、役に立ちません。
29日の初日午前9時から午後3時までに、2257件の登録があり順調なスタートを切ったということですが、どれだけの参加者が利用するかが成功のカギを握っています。

日本版および韓国のコロナ追跡システムとの比較
日本版コロナ追跡アプリ
接触追跡アプリとも言われ、厚労省が運営主体となって進めています。
スマホのBluetoothの機能を使って、接触した人同士の記録を行います(AppleとGoogleの共同のプラットフォームを使用)。
ユーザー同士の接触記録を確認することを目的としており、個人がアプリをインストールしてユーザーとなる必要があります。
接触追跡で相応の成果を出すためには、国内で少なくとも利用率が6割に達することが必要とされています。
匿名化された接触情報のみで、感染者個人の特定はされません。
データは接触して通信した相手のスマートフォンの記録だけスマートフォンに保存されるのみ。
アプリユーザーとの接触記録/感染者と接触した時に通知が届きます。
なお、同様のシステムを3月に導入したシンガポールでは、インストールしたユーザーは約5分の1にすぎず、利用者数が限定的にとどまっており、目標の6割には遠く及んでいません。
韓国のコロナ追跡システム
スマホのGPSを使った位置情報、クレジットカードの決済履歴および監視カメラに残された映像の3つの技術を基盤とし、28の国家機関をオンラインで連結し、素早い情報共有を用いたビッグデータを活用しています。
感染者の性別や年齢層、症状が表れた前後の移動経路について分単位で情報が把握され、政府の中央サーバーに集められます。
アプリのインストールやQRコードの読み込みの必要もなく、自動分析により、感染者の移動経路や感染者と接触した人を全員追跡などの調査結果が出るまでの時間は10分しかかかりません。
韓国では、全ての店が全てのクレジットカード会社と契約しているということが基盤となっています。
韓国の世論調査では、感染拡大を阻止するためなら個人のデジタルプライバシーが犠牲になっても良いとしています。
3者を比較するため、表にまとめました。
システム名 | 大阪のコロナ追跡システム | 日本版追跡アプリ(接触通知アプリ) | 韓国のコロナ追跡システム |
---|---|---|---|
目的 | イベント参加者の名簿管理 | アプリユーザー同士の接触記録の確認 | 感染者、濃厚接触者の移動経路追跡 |
使用データ | 登録者のメールアドレス | 接触してBluetoothで通信した相手のスマートフォンの記録 | 位置情報(スマホのGPS)、クレジットカードの決済履歴、監視カメラの映像、国の持つビッグデータ |
感染者個人の特定 | メールアドレスのみ | 特定しない(匿名化された接触情報) | 特定する(警視庁の承諾要) |
情報管理 | スマートフォンに保存 | スマートフォンに保存 | 中央サーバー |
使用条件 | 施設ごとにQRコード読み込み、メールアドレス登録 | アプリインストール必要(接触追跡効果には利用率6割要) | 不要 |
通知情報 | 感染者がいつどこの施設にいたか | アプリユーザーの感染者との接触記録を通知(位置情報なし) | 感染者の性別や年齢層、症状が表れた前後の移動経路について分単位で公開される |
運営主体 | 大阪府 | 厚生労働省 | 韓国政府 |
実施時期 | 5月29日 | 6月中 | 3月24日から新システム導入済み |
本来のコロナ追跡システムと言えるのは、韓国のものだけです。
但し、性別や年齢層、症状が表れた前後の移動経路など個人情報を差し出すことになります。
実際このシステムで、ソウルのクラブから最初の感染者が発見された後、そこにいた人、その家族、同じ会社員、友達などに連絡し、3日間で56,000人が検査を受けることにつなげました。
個人のプライバシーに配慮したのが、日本版追跡アプリ(接触通知アプリ)ですが、アプリのインストール必要で、6割以上の人がアプリをインストールしないと接触追跡効果が出ないなどの弱点を持っています。
大阪のコロナ追跡システムは、イベント参加者の名簿管理に特化したもので、個人のプライバシーにも配慮されていますが、施設ごとにユーザーがQRコードを読み込んで、登録する必要があります。
また、感染者が出た日時、施設情報を通知されても、濃厚接触者の可能性を申し出るのはあくまで本人の意志に任されています。

大阪コロナ追跡システムへのみんなの反応





出典:ヤフコメ

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まとめ
要約すると...
- 大阪のQRコードを用いたコロナ追跡システムは、各施設、イベントごとの専用QRコードを参加者が読み取って登録するイベント参加者の名簿管理に特化したシステム
- 位置情報も含め感染者経路を特定できる本来のコロナ追跡システムと言えるのは、韓国タイプのみだが、個人のプライバシーのある程度の犠牲が必須
- 日本版追跡アプリは、プライバシー保護に配慮しているが、アプリインストール者が6割を超えないと接触追跡効果が十分でない弱点がある
大阪のコロナ追跡システムは、本来のコロナ追跡システムとは言えませんが、大部分の府内の店やイベント会場と、参加者の協力が得られれば、導入のタイミングも絶妙で、イベント参加者の名簿管理を通して感染者情報の通知ができ、その申し出により濃厚接触者を特定できます。
外出自粛に大阪人が意外に協力的だったことからすると、案外うまく行くのかもしれません。
ライブも自粛解除となるようですので、感染対策といざ感染者が出た時のフォローがうまく行けば、自主性を重んじた新しい大阪モデルとなる可能性があります。
ロックダウンせず、感染者を抑え込み、個人情報を差し出さず感染者を追跡できたなら、新たな日本モデルにもなるのかもしれません。

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