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オコンジョイウェアラ氏の経歴まとめ・中国との接点は?

韓国の兪氏の撤退により、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ氏が、空席であったWTOの事務局長にようやく就任することになりました。

オコンジョイウェアラ氏の経歴をまとめ、トランプ前大統領が懸念した中国との接点はどの程度あるかを探ってみました。

WTO事務局長への能力や本人の意欲、会見で「(これに比べれば)米中貿易戦争を終わらせることは大したことではない」と述べた母親誘拐事件についても触れます。

ひまり
数々の修羅場を潜り抜けてきた女性のようね

オコンジョイウェアラ氏の経歴

オコンジョイウェアラ氏の経歴をまとめてゆきます。
ナイジェリアのデルタ州オグワシーウクで、Obahai王家の帯(王)であった父のもとに生まれたオコンジョイウェアラ(66歳)氏の経歴は以下となっています。

出来事
1954/6/13ナイジェリアのオグワシーウクに生まれる
1973年イバダン大学インターナショナル・スクールを卒業後、アメリカ留学
1976年ハーバード大学で修士号
1978年マサチューセッツ工科大学で博士号
2003年ナイジェリア財務大臣
2006年外務大臣
2007年世界銀行副総裁
2011年~2015年財務大臣に再任
2020年次期総長選挙に立候補

10代で、アメリカに留学し、名門ハーバード大学で経済学の学士号を取得して優等生で卒業し、修士号をとったあと、名門マサチューセッツ工科大学で地域経済と開発の博士号を取得しています。

2003年~2006年の、最初のナイジェリア財務大臣時代には、ナイジェリアの債務の300億米ドルを一掃し、180億米ドルの完全抹消を実現しました。
この実績から、2005年には、ユーロマネー誌により「世界の財務大臣オブザイヤー」に選出されました。

2007年には、世界銀行副総裁に就任するなど、実質的に世界銀行のナンバー2となりました。
2011年~2015年は、ナイジェリア財務大臣に再任され、世界銀行と IMF のナイジェリア連邦政府への支援を受けて、電子財務管理プラット フォーム、政府統合財務管理情報システム(GIFMIS)の構築を支援し、その過程でのナイジェリアにおける最大の問題である政治腐敗を抑制するのに貢献しました。

この間、2012年12月11日に、母親誘拐事件発生しています。

母親誘拐事件

母親カメネオコンジョさん(当時82歳)、以前は大学教授を務めており、夫は土地の領主である事から地元では「宮殿」と呼ばれる大豪邸に住んでいました。

当日、カメネオコンジョさんは表門で作業していた作業員に飲み物を持って行ったところを武装グループによって誘拐されました。
そして、事件発生の5日後の午前10時半頃に高速道路に置き去りにされていたところを無事に保護されました。
身代金交渉の有無や金額についてまた政治的な交換条件があったのか等についての詳しい情報は開示されていませんが、
石油輸入業者に対する戦いの先頭に立って、汚職撲滅を推進してきたオコンジョイウェアラ財務相の反対勢力の仕業という見方もできます。

今回のWTO事務局長選出にあたり、この母親誘拐された事件に触れ、「(誘拐事件に対応した経験に比べれば)米中貿易戦争を終わらせることは大したことではない」と強調。WTOが抱える課題を「恐れていない」と言い切っています。

世界銀行でのキャリア

開発エコノミストとして25年間キャリアを積み、マネージング・ディレクターの第2位にまで登りつめました。

この間2008年から2009年にかけての食糧危機、そしてその後の金融危機の間、低所得国を支援するための世界銀行のいくつかのイニシアティブの先頭に立ちました。
デンマークのアンダース・フォグ・ラスムッセン首相によって設置されたアフリカとの効果的な開発協力に関する委員会のメンバーでもあり、2008 年 4 月から 10 月にかけて会議を開催しました。
2010 年には、世界で最も貧しい国々のために 493 億ドルの助成金と低利のクレジットを調達するための世銀の活動である IDA 補充の議長を務めました。
また、貧しい国々で予防接種へのアクセスを増やすことを目的としたジュネーブを拠点とする官民パートナーシップであるワクチンと予防接種のためのグローバルアライアンスの議長としての仕事もしています。

以上のように、数々の国際的に困難な活動をまとめ挙げ、推進した成果を上げた実績があります。

また、2021年初頭には、G20によって設立されたパンデミックへの備えと対応のためのグローバル・コモンズへの資金調達に関するハイレベル独立パネル(HLIP)の共同議長となるなど、喫緊の問題であるコロナ禍にもすでにかかわっています。

通商問題への経験不足などと言ったのは誰だ?
れん

オコンジョイウェアラ氏と中国との接点はあるか?

トランプ時代、米国がオコンジョイウェアラ氏に反対する理由は明示しなかったものの、ナイジェリアが中国から多額の支援を受けていることが背景にあると見られていました。

トランプ前大統領は、中国寄りと見るWHOテドロス・アダノム事務局長が、多額の中国の援助を受けたエチオピア出身であると相似だとみたと思われます。

まず、ナイジェリアと中国の関係を見ておきましょう。
2004年 中国は、輸入面では英米に次ぐ3位のドイツにせまり、輸出面でもトップ10に名を連ねるまでになりました。

2012年03月19日 ナイジェリアの首都アブジャ付近に建設された衛星地上ステーション内で通信衛星「NigComSat-1R」の中国長城工業総公司からナイジェリア通信衛星社に引き渡されました。

2017年1月 中国政府はすでにナイジェリアに450億ドル(5兆円強)を投資しているが、さらに、新たに400億ドル(約4.5兆円)の投資をすることを決定しました。

2021年1月には、国交樹立50周年に際し、これまでの鉄道建設、自由貿易園区、通貨スワップ、衛星打ち上げなどの分野での協力をさらに強化するための7項目で合意を発表しました。

2003年~2006年と2011年~2015年間2度にわたって、財務大臣の職にあり、2006年には、外務大臣にも就任していたオコンジョイウェアラ氏が、中国とどうかかわっていたかの情報はありません。

2018年12月5日に、アジアインフラ投資銀行(AIIB)での講演で、オコンジョイウェアラが「アフリカ開発への資金調達における中国の役割」について語っていますので、見ておきましょう。
・「アフリカが必要としているインフラの3分の2はまだ建設されていない」とアフリカのインフラ融資の赤字についての認識を高めることから語り始めました。
・アフリカの開発への資金調達における中国の役割について、「中国との関係をクリスマスツリーにするのはやめよう」と述べ、中国のような外部の金融機関に目を向ける前に、南アフリカとナイジェリアの年金基金などアフリカ自身の内部資金調達の可能性を利用することの重要性を強調しました。
また、経済を軌道に乗せるために、精通した政策を採用し、技術を活用する必要があるとともに、ナイジェリア政府が実施している起業家育成プログラムの例を紹介し、これは起業家育成を支援すると同時に、若い起業家を正式な経済活動に参加させるという二重の目的を果たしていることを強調しました。

中国の援助に頼るのではなく、自身の実績から、アフリカ各国の自立を促していると思えます。

以上から、明白に中国寄りだとの情報はありませんでした。
これまでの実績、経歴からすると、自立志向であり、うまくWTOのイニシアティブをとるのでは と思われます。

ひまり
とても頼もしいと思うわ!

オコンジョイウェアラ氏の評判まとめ

韓国の兪氏との世界貿易機関(WTO)事務局長選に関しての発言から。

WTOの選出委員会(EU,アフリカ諸侯、日本など104カ国の支持)

WTO改革への意欲、能力があり、ナイジェリア外相の経験から、調整力も期待される。

米国
2020/10/28(トランプ時代)

米通商代表部(USTR)は「韓国の兪氏を支持する」との声明を発表した。通商政策に通じた兪氏を高く評価する一方、オコンジョイウェアラ氏に反対する理由は明示しなかったものの、ナイジェリアが中国から多額の支援を受けていることが背景にあるとの見方が出ている。
「米国がオコンジョイウェアラ候補に反対するのは、彼女が長い経歴を世界銀行で持つなど、通商分野の出身ではないから」だ。

2021/2/6(バイデン時代)

米通商代表部(USTR)は「オコンジョイウェアラ氏は経済と外交の豊富な知識をもたらす」、「効果的な指導力で広く尊敬されており、加盟国が多岐にわたる大規模な国際機関を運営した実績も備えている」と評価した。

「米国の支持への感謝およびこれまで支えてくれたナイジェリア国民や家族を初め皆への感謝。」

英専門家

「WTOを改革する強い意志と情熱を持つオコンジョイウェアラ氏が次期事務局長に適任だとする加盟国は多い」
「(同氏が事務局長になれば)中国の影響力が増すアフリカを代表する立場となり、中国に配慮した運営を進める恐れも指摘されている」

世界銀行のベテラン

彼女自身を改革者と表現し、彼女は強力な政治的および交渉力を持っている。

英メディア

オコンジョイウェアラ氏はナイジェリアで経済改革を主導し、世界銀行でも専務理事を務めた。先進国で手腕が評価される一方、同氏が事務局長に選出されれば、アフリカへの投資を拡大する中国の影響を受けることが懸念されている。

支持者

数十億ドルに上るナイジェリアの債務を棒引きさせるなど、交渉能力の高さを評価している。

私は実用的であり、ソリューション指向です。」と自己評価するオコンジョイウェアラ氏は、「私は聞き上手です。この仕事をするには、聞き取りスキルが必要です」「誰が不公平だと感じているかを聞いて、メンバーが引き受ける必要のある権利と義務のバランスを取り戻すことが重要だ」と述べ、事務局長としての意欲を示しています。

先の講演の締めくくりでも、自身が汚職との戦いで直面した個人的な試練について、「彼らは私を殺そうとしていた。もし私を殺すことができなかったら、彼らは私の評判を落として、私が機能できないようにしようとしていた」と述べています。

オコンジョイウェアラ氏は、自己認識、強力な価値観と原則のセット、そして鉄壁の評判は、彼女が強調した「開発への腐食」である汚職に取り組もうとするときに重要な要素であることを強調し、私たち、アフリカ人として誇りに思うことがたくさんあるので、背筋を伸ばして立つべきですと結びました。

信念の人に思える!
れん

まとめ

要約すると...

  • オコンジョイウェアラ氏のナイジェリア財務大臣、約25年におよぶナンバー2にまで上り詰めた世界銀行でキャリアをまとめた
  • オコンジョイウェアラ氏は、優秀で、国際経験が豊富で、交渉力も含め、WTO事務局長としての資質を十分兼ね備えている
  • 中国によるナイジェリアへの経済援助は多重的で、巨額で長い歴史があり、財務大臣時代に接点があった可能性はあるが、具体的にオコンジョイウェアラ氏が中国寄りとの情報は見つからなかった

トランプ前大統領が辞任してすぐ、数か月空白であったWTO事務局長が決まるなど、一刻の猶予もないはずの問題山積の世界がやっと動き出しました。

オコンジョイウェアラ氏これまでの言動やアフリカ人としてのプライド、信念などから考えると、トランプ前大統領が懸念したWHOのテドロス事務局長の轍を踏むというのは杞憂のように思えます。

約25年の世界銀行でのキャリアを持ち、長くワシントンDCに住み、米国市民権を持ち、命を懸けても汚職を許さない信念のオコンジョイウェアラ氏は、WHOのテドロス事務局長とはずいぶん違うようです。

オコンジョイウェアラ氏が問題山積のWTOをどう改革してゆくかを見守りたいと思います。

ひまり
分断ばかりだったから、世界がまとまる方向に少しでも進んでほしいわ

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