日本フェンシング協会は北京・ロンドン五輪連続銀メダリストの太田雄貴会長の後任に、タレントの武井壮氏を選出しました。
ん?武井壮ってフェンシング選手だったっけ?東京五輪直前の今、なぜフェンシング協会は武井壮氏を会長に選んだのか。その背景を探りました。(出典:Wikipedia、スポーツメディアなど)

目次
フェンシングで武井壮がなぜ会長に選ばれた?
コロナ禍で1年延期となった東京五輪目前。日本フェンシング協会は、太田会長が2期4年の任期満了で退任し、他の理事人事とともに、新会長に何と陸上十種競技の元日本王者でタレントでもある武井壮氏を充てると発表しました。
元アスリート、「百獣の王」のニックネームでバラエティや情報番組のコメンテーターとしても人気の武井氏ですが、なぜあまり縁がなさそうなフェンシング協会会長に抜擢されたのでしょうか。
会長交代の記者会見で、太田氏は「この1年、後任を探してようやくこの人だと見つけられた」と、以前から交流のある武井氏を自ら説得したと明かしました。
そして「今後の協会には『太田だからできた』といったような、属人的な運営体制からの脱却を図り、新たな組織体制を構築する必要がある。武井さんは陸上の選手でフェンシング経験はないが、ビジョンを掲げ大きな発信力があるという会長の資質がある」とその理由を語りました。
太田雄貴元会長退任の理由
太田雄貴氏はまだ35歳の若さですが、なぜ退任するのでしょうか。太田氏はまさに日本フェンシング界のスーパースター。北京五輪で日本史上初の五輪メダルを獲得し、次のロンドンでも日本史上初の団体銀メダルに貢献しました。
現役引退後、31歳の若さで協会会長に就任。全日本選手権決勝を劇場で開催するなど、フェンシングを一般に広める改革に力を入れ、国際フェンシング連盟副会長を務めるなど競技普及に尽力してきましたが、「さらに突き抜けるためにはまだまだ足りない」と感じていたそうです。
前から心に決めていたとおり任期満了で退き、発信力が抜群な武井壮氏に引き継ぐとともに、国際活動は続け、協会でも別役職で武井氏を支えていくとのことです。

武井壮会長の実績
「なぜか突然?会長になった」武井壮氏は東京出身の48歳。修徳中・高から神戸学院大、中央学院大と進み、97年日本陸上選手権の十種競技で、競技歴わずか2年半ながら優勝。
中学では野球、高校でボクシング、大学で陸上、大卒後米国へゴルフ留学。その後台湾プロ野球コーチ、競輪トレーナーなど文字通り「スポーツ万能」の活動を続けます。

12年ごろからタレント活動に軸足。「百獣の王」「タンクトップ姿」をトレードマークに現在数々のレギュラー番組に出演しています。
その武井新会長、フェンシング経験はまったくないようですが「自分もマイナー競技の出身で、日本一になっても生活が豊かにならなかった」と関係者の思いは理解できると強調。
「その経験を選手に伝えていきたいし、フェンシングの魅力を伝える作業はまだ足りていない。発信していきたい」「会長は重い役職だが1人のアイデアマンとして、街行く人が誰でもフェンシング選手と分かるような日本にしたい」と抱負を語っています。
フェンシング武井壮会長その影響は?
競技団体のトップといえば、通常はその競技で顕著な成績を収めた第一人者が就任するのが一般的。あるいは人脈が広く予算獲得などで利点がある与党の大物政治家、財界人などが従来多く務めています。
そこに、有名人とはいえ競技と全然関係ない武井壮氏のフェンシング会長就任。驚きの人事ですが、実は最近似た事例が続いているようです。例えば現日本バスケットボール協会会長は、かつての女子バレー日本代表のスター選手で、大手下着メーカー社長も務めた三屋裕子氏。
女子バスケットボール「Wリーグ」でもカンヌ映画祭など数々の受賞歴がある映画監督の河瀨直美氏が会長に就任しています。
こうした新しい動きについて企業経営論の専門家は、再生が必要な組織の場合、しがらみない新しい視点・アイデア、内部の環境をがらりと変える効果、ファン目線の高い発信力などで外部人材導入のメリットは大きい、と指摘しています。
フェンシング武井壮会長にネットの反響は?





出典:ヤフコメ欄
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
要約すると...
- 日本フェンシング協会新会長に「百獣の王」タレント武井壮が大抜擢
- 太田雄貴前会長が推薦。競技のメジャー化へ構想力、発信力を期待
- 武井は陸上十種競技元日本一。最近は外部人材の競技団体会長増える
タレントや映画監督、別競技のスターをトップに招くことには、確かに「ただの“広告塔・飾り物”」「競技を知らないで具体的な成果が挙げられるのか」との批判もあるようですが、スポーツも一種の「人気商売」。とりわけ騒動があった団体や、マイナースポーツの場合は理に適っているかもしれません。
たくさんの分野を独力で切り拓いて成功してきた著名人や、数多くの関係者・お金・プロジェクトをまとめ上げる映画監督は、ある意味指導者・リーダーとしての資質も備わっているといえます。フェンシングをどう広めていくのか、武井「百獣の王」会長の手腕に注目したいものです。
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