琵琶湖畔を走る今年の「第76回びわ湖毎日マラソン」(琵琶湖マラソン)が28日に迫ってきました。数々の名ランナーが歴史を紡いできた琵琶湖マラソンですが、何と今回が最後の大会となり〝消滅〟してしまいます。
なぜ琵琶湖マラソンは消滅するの?終了となる3つの理由を分かりやすく解説してみました。(出典:Wikipedia、各スポーツメディアサイトなど)

目次
琵琶湖マラソンが2021年を最後に消滅
びわ湖毎日マラソン(琵琶湖マラソン)は、日本陸上競技連盟などが主催するワールドアスレティックス(国際陸連)ゴールドラベルの男子マラソン大会で、国際大会の代表選手選考会も兼ねる、国内屈指のエリートマラソン大会です。

歴史ある大会だけにこれまで数々の名選手を生んできた琵琶湖マラソン。68年大会では、3位になって半年後のメキシコ五輪代表を決めた君原健二氏が、五輪本番で見事銀メダルを獲得。88年大会では、ライバル中山竹通氏と激しく代表を争った瀬古利彦氏(現マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)が圧勝し、ソウル五輪代表を決めました。
12年ロンドン、16年リオの五輪代表選考の舞台にもなるなど、日本のマラソン史を刻んできた琵琶湖マラソンですが、残念なことに28日の76回大会をもって〝消滅〟することが、先日陸連から発表されました。
それによると滋賀県での開催は今回で終了し、来年からは大阪マラソンと統合。大阪マラソンのコースを使用して「第10回大阪マラソン・第77回びわ湖毎日マラソン統合大会(仮称)」として生まれ変わる予定だということです。
ではなぜ伝統の琵琶湖マラソンが今回で「消滅」してしまうのか。その理由を次項で分かりやすく3つに分けて解説してみましょう。
https://twitter.com/jaaf_official/status/1359354692090748935
琵琶湖マラソンが消滅する3つの理由
国内最古で「三大マラソン」にも数えられる歴史と伝統の琵琶湖マラソン。ついに消滅することとなったその3つの理由を、以下に分かりやすくご紹介しましょう。
理由1、高速化に付いていけず
厚底シューズ革命、トレーニング法の進化などもあって近年のマラソンはタイムの高速化が著しく進んでいます。10年前には2時間4分近くだった世界記録は今や2時間切りが視野に入るほど。

高速化の波に乗るように、17年に東京マラソンがコースを大幅変更。平たんでタイムが出やすい高速ルートになったことも〝打撃〟になりました。琵琶湖マラソンも高低差が少なく元来は「高速コース」の位置づけでしたが、一部で向かい風が激しいこともあって、近年の優勝タイムは以下のように東京と差が開き、結果として「魅力低下」を招いています。
■過去3年の男子優勝タイム
2018年 〔琵琶湖〕ディラング(ケニア)2時間7分53秒 〔東京〕チュンバ(ケニア)2時間5分30秒
2019 〔琵琶湖〕ブナスル(モロッコ)2時間7分52秒 〔東京〕レゲセ(エチオピア)2時間4分48秒
2020 〔琵琶湖〕チェベト(ケニア)2時間7分29秒 〔東京〕レゲセ2時間4分15秒
最後の大津での #びわ湖毎日マラソン のゼッケンは60番。
51番からが一般参加選手なので2019年のびわ湖の私のタイムよりも速い選手が20人位エントリーしていそうです。
昨年、びわ湖で自己ベストの2時間10分48秒で走ったオーストラリアのAdams選手は「私達はびわ湖が大好きだった」と言ってました。 pic.twitter.com/crzTQ3tPs4
— 川内 優輝 Yuki Kawauchi (@kawauchi2019) February 8, 2021
理由2、話題性・注目度の低下
琵琶湖マラソンは毎年2月の第四日曜日の開催。これは「ライバル」の大規模大会である東京マラソンや名古屋ウィメンズマラソンとほぼ同じ時期です。名古屋ウィメンズマラソンとは日程が完全に重なる年もあり、影が薄くなる一因に。
前述のような事情もあり、好タイムを狙うトップランナーはおのずと東京や名古屋に集まる流れが定着し、招待選手数も東京などと比べかなり少なくなっています。市民参加のない「エリートのみの大会」だけに、目玉選手の出場が減るにつれ注目度も低下を余儀なくされていました。

理由3、流れは大市民マラソン
今、全国的に都市主催のマラソン大会は大規模な「市民マラソン化」が流れ。近年のランニングブームもあり各大会では一般市民の参加が拡大。ランナーの数が増えれば増えるほど出場料収入も多くなり収益増につながるため、どの都市でも市民マラソン化に積極的ですが、半面琵琶湖マラソンは乗り遅れています。

大規模な市民マラソンの実施には、当然大きな広い道路や、安全性を担保できるインフラと多くの警備人員などが必要です。これは大都市でないと難しく、地方都市で開かれる「びわ湖毎日」の場合、規制が厳しいコースの交通事情などもあり「大市民マラソンには脱皮困難」という結論に至ったようです。
こうした諸事情が重なり、主催者はこれまで通りの大会運営を続けるのは難しいと判断。大規模・大都市で行われる近隣の大阪マラソンとの統合に舵を切ったとみられます。
【解説・増田明美】
びわ湖毎日マラソンの出場選手が発表されましたね。東京五輪マラソン代表の中村匠吾さんに、6分台がベストの髙久龍さんと井上大仁さん、ハーフ日本記録の小椋裕介さんなど、豪華メンバーが揃いましたね。大学生も多く出場しますし、最後のびわ湖で何かドラマが起きそうですね。— 増田明美@小ネタ (@masudaakemi3) February 9, 2021
琵琶湖マラソンが消滅にネットの反応は?





出典:twitter
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
要約すると...
- 琵琶湖湖畔を走る伝統の「びわ湖毎日マラソン」が今年を最後に「消滅」
- 来年からはお隣の大規模市民マラソン「大阪マラソン」と統合して開催
- タイム高速化や市民マラソン化に乗れず、有力選手減り魅力徐々に低下
来年からは大阪に移り、琵琶湖畔でのランナー疾走は見られなくなる「びわ湖毎日」。日本陸連は「びわ湖毎日マラソンの価値と伝統に基づく威厳はしっかりと継承されてゆく」と強調し、同じく主催の毎日新聞社も「大阪に会場を移す22年2月は、毎日新聞にとって創刊150年の節目でもある。大きな潜在力を持つ二つの大会が融合することで世界有数の大会への成長を期待する」とコメントしています。一抹の寂しさはあれど、〝発展的解消〟が日本のマラソンが強くなるステップになることを祈りたいものです。